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フォアクロス
2024年インタビュー

 

 

Interview

プロのスキルを身に付けることの大切さを実感

「プロとして仕事をするうえで必要なことを学びました」と、矢野さん

『調教カウンセリング』『グッドランド 不審な遺体』など数々の映画の字幕翻訳を手掛けてきた矢野さんは、中学生のときから字幕翻訳に興味を持っていたという。「学校の夏休みの宿題の自由研究で、映画の字幕翻訳をテーマにしたんです。それから、字幕翻訳者になりたいという一心で勉強を続けていました」

X(旧Twitter)で同じ志を持つ仲間たちから情報を得て、大学生のときにフォアクロスの「字幕入門クラス」の受講を始めた。約2カ月で全12時間、字幕翻訳の基礎を学ぶものだ。「字幕のことはある程度知っているつもりだったのですが、いざ自分の訳を映像に当てはめてみると、どうも訳が浮いて見える。やはりプロのスキルを身に付けるのは大変なんだと実感しました」

大学院では、字幕翻訳の大家・戸田奈津子さんのライフヒストリーを研究した。卒業後は一般企業に就職したが、「自分のキャリアを見つめ直したい」と、「字幕入門クラス」修了から6年を経て、フォアクロスの「字幕プロクラス」を受講することにした。2カ月で2時間の講座が4回、3時間の講座が2回ある。

「リサーチの仕方なども含めて、プロとして仕事をするうえで必須のことを学びました。平日は会社があるので土日に集中して勉強していましたが、『必ずプロの翻訳者になる』という強い気持ちがあったからこそ、続けられたのだと思います」

会社勤めを続けながらプロデビュー

「映像の意図をくみ取る力が大切」と、鈴木先生

「字幕プロクラス」の修了生は翻訳の仕事を受注するためのトライアルを受けることができる。矢野さんは現場スタッフでもある講師らの目に留まり、クラス修了後、会社勤めを続けながら徐々に字幕翻訳の仕事を受けるようになった。指導した鈴木先生は、「映像翻訳とは単に英語のセリフを日本語に直すのではなく、映像の情報から監督や脚本家の意図をくみ取り日本語の表現に反映させていく必要があります。矢野さんはその点が優れていました」と言う。

初めての作品を手がけたとき、「私の字幕がこの映像に載って、世に送り出されるんだ」と、大きな責任とやりがいを感じたそうだ。現在も勤めの傍ら翻訳の仕事を続け、いずれ専業の翻訳者になることを目指している。「英語力も大事ですが、日本語の細かいニュアンスを理解してそれを表現する力もさらに大切です。本を読んだり日常生活の中で耳にする会話を意識したりしながら、日本語の表現力を磨いています」

鈴木先生は、「映像翻訳者を目指す際は、英語力がある程度備わっていることが前提で、そこから先は作品理解力と的確な日本語のアウトプット力で差がつきます」と言う。「さらに、作品の背景を丁寧にリサーチする、字数制限など字幕のルールを守るなど、総合的なことを意識して取り組める方が、トライアル合格に近いと思います」

鈴木先生自身、長く現役で制作に携わっており、映像業界の実情を把握しつつ、現場で求められるスキルやテクニックを伝えている。そのため、短期間で必要なノウハウを過不足なく学ぶことができる。

フォアクロスは映画やドラマ、ドキュメンタリー、企業の動画など多彩な映像作品の翻訳を手掛けている。取り扱い言語は英語のほか中国語、韓国語、スペイン語、フランス語など33言語にわたり、講座では日本語のテキストを使用するため多言語の受講者も多い。

「英語以外の専門言語を得意とする方は、当講座で字幕や吹替のスキルを身に付けることにより、映像翻訳者として活躍できるようになるチャンスがあります。翻訳初心者の方々がいる一方で、すでにプロとして活躍している翻訳者が、映像翻訳者への足がかりとして受講されることもあります」

字幕を出すタイミングを決める「スポッティング技術講座」など、特定のスキルに絞った講座があるのも特徴だ。授業は東京の教室とオンラインで実施、自分に合った受講スタイルを選んで始めてみよう。

※本インタビューは2024年時点の内容です。

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