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日本映像翻訳アカデミー(JVTA)
2023年インタビュー

Interview

映像翻訳の需要が急増、字幕・吹き替えを基礎から習得

「インターネットの動画配信サービスが盛んになり、映像翻訳の需要は、いまだかつてないほど高まっています」と語る、JVTA講師で映像翻訳ディレクターを務める藤田奈緒さん。

「NetflixやAmazon Primeなどインターネットの動画配信サービスが盛んになり、映像翻訳の需要は、いまだかつてないほど高まっています」と、JVTA講師で映像翻訳ディレクターを務める藤田奈緒さん。「映像翻訳には、他の分野とは異なる専門のスキルが必要です。それがないまま安易に企業動画の翻訳などを引き受けてしまい、『やはり基本の知識がないとうまくいかない』と、当スクールで受講を始める方もいます」

JVTAは1996年開校と、映像翻訳の興隆とともに歩んできたスクールだ。現在多数の修了生が、英日・日英の字幕・吹き替え翻訳の世界で活躍している。コースには「英日映像翻訳」「日英映像翻訳」があり、字幕と吹き替えを同時に学べるのが特徴である。「従来は字幕の需要が圧倒的に高かったのですが、近年は吹き替え翻訳の仕事も増えてきました。一つの作品で字幕と吹き替えが同時に必要になることもあり、両方こなせると仕事の幅が広がります」

映像翻訳とは何かを一から学ぶ「総合コース」から始め、実際に仕事を受注した場合と同様の条件で課題をこなす「実践コース」へと進む(※注)。現在はすべてZoomによるリモート授業だが、「お互いの顔をはっきり見ながら授業を受けることでき、むしろコミュニケーションが取りやすいと言えます。仕事のある方も時間を確保しやすく、遠隔地にお住まいの方も同じ条件で受講できます」

開始時の英語力は問わないが、実践コース進級時までに、TOEICテスト860点程度の英語力をつけておくのが目安となっている。

※注)「日英映像翻訳」は「総合コース」履修後「実践コース」へと進む。「英日映像翻訳」は、「総合コース・Ⅰ」「総合コース・Ⅱ」の2コースを履修後に「実践コース」へと進む。

スクリーンに自分の名前を見つけ、プロデビューを実感

通算1年半の受講を経てトライアルに合格し、登録翻訳者となった星加菜保子さん。現在は、会社員を続けながら外国語映画やドラマ、アニメの翻訳を手がけている。

「実践コース」修了後に「トライアル」という試験を受け、合格すると翻訳の受発注部門「MTC」に、プロの翻訳者として登録することができる。通算1年半の受講を経て登録翻訳者となった星加菜保子さんは、現在、会社員を続けながら外国語映画やドラマ、アニメの翻訳を手がけている。

「JVTAの説明会に参加し、代表の新楽直樹さんの『映像翻訳は一生使える職能。ここにいる皆さんは、もうプロとしての第一歩を踏み出している』という言葉に感銘を受け、入学を決めました」

ただし星加さんには、受講を開始したのちいったん勉強をやめ、10年の年月を経て復学したという経緯がある。「仕事と勉強を両立させるのが難しく、いったんあきらめたんです。でも、仕事がリモートになって時間に余裕ができ、オンライン受講の機会も生まれたときに、映像翻訳の勉強にとてもやりがいがあったことを思い出しました。『あれだけ情熱を持って打ち込めたことは、他になかった』『このままでは後悔する』と、再チャレンジを決めました」

星加さんはアメリカやイギリスで生活した経験があり、日本で英語を使う仕事をしてきたが、それでも講座で身に付けるべきことは多かった。特に、制作者の意図をくみ取る「コンテンツ解釈力」の指導が、プロとなった今、非常に役に立っているという。

JVTAでは、プロの映像翻訳者に必要とされる「ソース言語解釈力」「翻訳力」「取材・調査力」「ターゲット言語応用表現力」「コンテンツ解釈力」「ビジネス対応力」を「6つの資質」と定め、受講生の評価に活用している。「私は一つの分野で飛び抜けているというわけではなかったのですが、6分野の成績のバランスが取れていました。それが、トライアル合格につながったのではないかと思います」

JVTAでは、2008年から「難民映画祭(現在は国連UNHCR協会主催)」に社会貢献の一環として協力しており、修了生もこの活動に参加している。「映画祭で字幕翻訳を担当し、上映会場のスクリーン上に翻訳者として自分の名前が載っているのを目にしたとき、本当にうれしかったですね。今後は、プロとしてさらに効率よくクオリティの高い翻訳を生み出していきたいと思います」

映像翻訳は一見華やかな世界のように映るが、「実は、地道な努力が必要です」と、JVTA講師の藤田さんは言う。「ただ、自分のこれまでの経験を必ず生かすことができ、新しい知識を吸収して自分の人生を豊かにすることができる仕事です。映像翻訳にチャレンジすることで、新しい世界の扉を開いてください」

※本インタビューは2023年時点の内容です。

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