Interview
商品性の高い翻訳を目指して学習する
国内最大級の翻訳会社が運営するサン・フレア アカデミー。多様な分野の現役翻訳者が講師を務め、現場で必要な知識や実践的なテクニックを指導する。
冨田淳二先生は、IT・通信分野の講座や教材の作成などを担当。同校の方針は「何も足さない、何も引かない」ことだと語る。
「翻訳では、原文読者と訳文読者が等価で情報を共有できる『等価翻訳』が原則です。意訳をできるだけ抑えた、原文に忠実な翻訳を目標に、講座では文法を細かく解説しています。また、文脈に合った表現をいかに見つけられるかも重要なポイント。〝辞書は読み物〟と考え、見出し語だけでなく例文まで確認するよう指導しています」
さらに、日英翻訳では、「回転寿司」など日本特有の言語を英語で表現することが求められる。そのため、普段から日本で発行される英字新聞を読むことを勧めている。
加えて、業界独特の言い回しや、各クライアントが求める表現を理解することも必要。そのためには、原文のバックグラウンドにある知識を培うことも不可欠だ。
「IT・通信系の企業で働いていても、業界全般の知識がある人はほぼ皆無。ネットや書籍にあたるだけでなく、電器店で商品の構造を確認するなど、自分に足りない知識を謙虚に覚え、新しい知識を貪欲に学ぶ人ほど伸びていきます」
そして、もう一つ重要なのが商品性を意識すること。「この訳文を買いたいと思うか」と常に自問し、「プロに依頼すると、こんなに美しく、わかりやすい文章に仕上がるのか」と思われる翻訳を目指す。
「そのためには『いつまでに、どうなりたいのか』、明確な目標を定めることが大切。自分はただの学習者ではなく、プロになるんだという気持ちが必要です」
※本インタビューは2022年時点の内容です。