Interview
目標とする分野を定めて翻訳者への足掛かりをつかむ
創業1971年、国内最大級の翻訳会社である(株)サン・フレアが運営する翻訳スクール。翻訳全般のほか、「医薬/化学/環境」「特許」「IT/電気/機械」「金融/法務」と実務に即して分野/レベル別に講座を実施、現役翻訳者からプロとして活躍するための実践的な指導を受けることができる。
通学科、オンライン科、通信科と受講形態はさまざまで、通学とオンラインのハイブリッドでの開講もある。仕事帰りに通う、空いている時間帯に自宅で学ぶなど、自分に合ったスタイルを選ぶようにしよう。海外や地方在住者も、オンラインや通信を利用して受講している。
翻訳者に必須とされる翻訳支援ツール「Trados Studio」の操作方法やインターネット検索の実践テクニックなど、翻訳に役立つ知識やスキルを伝えるセミナー・講習会も頻繁に開催されており、通信科の受講生にも講師の話を直に聞くチャンスがある。
初級者向けの英文法や医薬・化学・バイオの技術翻訳の講座を担当している山口正晴先生は、「技術翻訳では各分野の高い専門性が求められ、一般の文書とは異なる、専門家向けの表現を使って訳す必要があります。まずは自分の目指す分野を定めてその道で必要とされる知識とスキルを身につけ、翻訳者としての足掛かりを作るといいでしょう」とアドバイスする。英文法は高校までに学校で習った知識が基礎となるが、分野に合わせて適切な日本語で表現したり、自然な英文を書いたりする力が求められてくるのだ。
文系出身者も多数、授業で専門知識も身につく
通学科でも1クラス6人までという少人数制を特徴とする。通学科やオンライン科のクラスの場合、受講生はあらかじめ課題を訳して提出、講師が添削して授業前に渡し、授業で丁寧に解説を行うことになる。
「大学で文系の学問を専攻した人も、授業の中で専門的な知識を身につけることができます。医薬や化学を一から学んで翻訳のプロの世界に進んでいる人が大勢います」と、山口先生は言う。受講生の多くは仕事を持つ社会人で、英語力を生かしてプロの翻訳者としてのデビューを目指している。在宅勤務または企業人としての仕事復帰を目指す主婦も少なくない。
どの受講形態でも、家である程度時間をかけて課題の翻訳に取り組む必要があるが、山口先生によると、仕事や家事と勉強を両立させるコツは「好きになれる分野を選ぶこと」。「翻訳していて楽しいと思えることが、まず大切です。勉強中は間違うこともあるかもしれませんが、それを生かして次は間違いがないよう努力する。その積み重ねで、プロとして通用するための力がついていきます」
サン・フレア アカデミーには「TQE®」という独自の翻訳実務検定があり、合格すると「翻訳実務士®」と認定され、サン・フレアにプロの翻訳者として登録することができる。「非常に難易度の高い検定で、TQE®に合格した、サン・フレアに登録しているというだけで、高い実力を備えた翻訳者であると、翻訳業界で認識されます」
医学や薬学の分野は現在需要が高く、今後も伸びていく可能性がある。その前段階として、さまざまなジャンルの基礎となる化学を学んでおく価値もあるそうだ。「興味を引かれる分野があれば、インターネットなどで専門誌の記事を読むようにするといいでしょう。記事は日本語のものでもかまいません。自分が翻訳するときに、どのような文章が求められているかがわかります」
自身がベテラン翻訳者である山口先生が、プロとして活躍するための秘訣を教えてくれた。「短い納期で仕事を完成させるには集中力が不可欠で、翻訳者の仕事には体力が必要。効率を落とさないために上手に気晴らしするなど、自己管理する能力も求められます」。翻訳者の仕事は年齢にかかわりない。40歳台の受講生も多く、それからのデビューでも遅くはないそうだ。「一生続けられる仕事だと考えて、翻訳者を目指してください」
自分がどの分野に適しているかを知るには、入学前に「翻訳力チェック」を受けてみるといい。英文法を学び直したい場合は、自分の今の実力を知るためのレベルチェックテストが行われている。さらに学校説明会や無料体験授業に参加して、どの分野の勉強から始めるのがいいか確認しよう。
※本インタビューは2023年時点の内容です。