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    越前先生の「この英語、訳せない!」

【連載コラム 第24回】
越前先生の「この英語、訳せない!」

ビシッと決まる訳語の裏には翻訳家の人知れぬ苦労があります。
名翻訳家の仕事と思考のプロセスを追体験できる、珠玉の翻訳エッセイ。

available デートの誘いにも使える便利なことば

availableの典型的な訳語は「使用できる」「手にはいる」「役に立つ」あたりですが、それでは間に合わない場合も多くあります。よく見られるのが“Are you available tomorrow?”のような例で、「あすのご都合はいかがですか」という意味になります。これはフォーマルな場で使っても失礼ではありませんし、もちろんデートの誘いにも使えます。
 
そのほか、この単語はさまざまな局面で使われますが、下はわたしの訳書でavailableに対して訳語を特にあてず、全文の流れに溶けこませた例です。こんな処理の仕方もあるので、参考にしてください。

Their symbols remain(中略)available for adoption by other groups.
その紋章が別の集団に受け継がれる可能性はあります。
(『天使と悪魔』ダン・ブラウン、角川文庫)

 

越前敏弥(えちぜん としや) :文芸翻訳者。1961年、石川県金沢市生まれ。東京大学文学部国文科卒。訳書『オリジン』『ダ・ヴィンチ・コード』『Yの悲劇』(KADOKAWA)、など多数。著書に『この英語、訳せない!』『「英語が読める」の9割は誤読』(ジャパンタイムズ出版)、『日本人なら必ず誤訳する英文・決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

 

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