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【連載コラム 第40回】辛酸なめ子の英語寄り道、回り道

テイラーの結婚式当日と元カレの失恋ソング

 世界的な歌手とテイラー・スウィフトとNFLスター選手のトラビス・ケルシーが結婚。結婚式はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われ、まさに「世紀の結婚」と呼ばれるにふさわしい一大イベントでした。挙式費用は総額30億円以上と試算されています。テイラー・スウィフトの純資産は約21億ドル(約3300億円)、トラビス・ケルシーの総資産は約7000万〜9000万ドル(約105億〜135億円)と推定されているので、結婚費用が1500万ドルかかっても、一般人にとっての300万円くらいの感覚なのかもしれません。ここまでの規模だと一体何十万円包めばいいのか庶民として心配になりますが、2人の結婚式には結婚祝いやご祝儀は不要で、代わりにゲストに「チャリティ団体への寄付」が呼びかけられたそうです。さすが「カルマ」を意識しているテイラー、徳を積んでいます。

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 テイラー・スウィフトとトラビス・ケルシーとの結婚に際し、40ページに及ぶ「婚前契約書(プレナップ)」が結ばれたと言われています。巨額の財産を持つセレブ同士の場合、それぞれの財産を独立して維持することや、結婚期間中に得た資産の分配方法などについて記されているのでは、と推察されています。そんなことはないと思いますが、万一離婚することになった場合、お互いの私生活について守秘義務もありそうです。その場合テイラー・スウィフトが過去の恋愛について書いていたように、夫についての曲は出せなくなってしまうかもしれません。

 テイラー・スウィフトは、日記的な曲で世の人々の共感を得てきました。過去の彼氏や恋愛について書かれた曲もたくさんあります。例えば、ジョー・ジョナスについては「Better Than Revenge」、ジョン・メイヤーは「Dear John」「The Story Of Us」、テイラー・ロートナーは「Back To December」、ジェイク・ギレンホールは「We Are Never Ever Getting Back Together」、ジョー・ジョナスは「Holy Ground」、ハリー・スタイルズは「Style」「Out of the Woods」など、書ききれないほどです。時代の寵児的なスターと次々と交際していたのにも驚かされます。彼らは内心結婚を祝福してくれているのでしょうか。それともテイラーへの思い(曲に書かれた恨みも含めて)をまだ引きずっているのでしょうか。

 結婚式当日、2012年末から2013年初旬に短期間交際していた元彼のハリー・スタイルズのある言動が世間を騒がせました。イギリスの人気シンガーで元ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズは、テイラーの結婚式にはもちろん出席しませんでしたが、当日は自分のツアーを行なっていました。この日、ライプでハリーは、今回のツアーではじめて「Two Ghosts」という曲を披露。2017年に発表された曲で、テイラー・スウィフトとの関係を歌ったと噂されています。

 歌詞は「Same lips red, same eyes blue.」という言葉から始まっていて、「赤い唇と青い目」がテイラーを匂わせているという説が。「We’re not who we used to be.」「We’re just two ghosts standing in the place of you and me.」と、別れてから時が経ったことを実感しているような切ない歌詞です。昔の2人の関係を思い出そうとしても思い出せない、変わってしまった2人を、過去の残留思念的な幽霊になぞらえています。詩的な表現で、儚い美しさが漂っている曲。カントリーの影響を受けた曲調にもテイラーへの思いを感じます。ハリーの現在の婚約者である俳優のゾーイ・クラヴィッツは、一人でテイラーの結婚式に出席していたそうですが、まだハリーは14年以上前の恋愛に若干未練があったのでしょうか。

 トップスター同士の恋愛は短いながら鮮烈な印象を与えたのか、失恋したあとにお互い曲を作り合っていて、それもロマンチックです。テイラー・スウィフトもハリーについて書いた、名字をもろにタイトルにしたような「Style」(2014年)を発表。「And I got that red lip classic thing that you like」(私はいつもと同じ、あなたが気に入っている赤いリップ)という歌詞があり、ハリーの「Two Ghosts」はアンサーソングのようです。「You got that James Dean day dream look in your eye」と、言われてみれば似ているジェームズ・ディーンのようなハリーの目や、「You got that long hair, slicked back, white T-shirt.」と、当時のハリーのロングヘアスタイルについても描写しています。「And when we go crashing down, we come back every time ’Cause we never go out of style」「壊れるたびに元に戻る私たち このスタイルを抜けられない」という歌詞には、本当にハリーにハマっていた当時の恋心が表れています。

 後に、テイラーは、ハリーが気が多くて、いつも他の女の子を目で追っていた、と明かしています。交際をはじめてすぐに、別の女性とキスしている写真も流出し、信じられなくなったとのこと。若かりし頃は精力的だったハリーも今はゾーイ・クラヴィッツと真剣交際している様子で、目移りしたらお父さんのレニー・クラヴィッツが怖いのでしばらくおとなしくしていそうです。

 それにしても突然昔のテイラーについての曲を披露するとは、どんな意味があったのでしょうか。元カノを懐かしく思い出したのならいいですが、「これを今歌ったら世界でバズるかな」という大人の計算があったのかもしれません。十数年の時を経て、2人とも百戦錬磨のセレブに成長しました。

辛酸なめ子 漫画家・コラムニスト。1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。精神世界、開運から皇室、アイドル観察、海外セレブまで幅広いテーマを対象にエッセイと挿絵で人気を得る。著書に『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)、『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』『新・人間関係のルール』(光文社新書)、『女子校礼讃』『辛酸なめ子の独断!流行大全』(中公新書ラクレ)ほか多数。

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