通訳の仕事
グローバル化が進む中、活躍の場は多い
異なる言語間のコミュニケーションを仲介する通訳者は、企業のグローバル化と訪日外国人の増加で、活躍の場が増えている。
会議・ビジネス
■ 仕事内容、求められる能力
国際会議や学術会議、シンポジウム、政府間協議、企業セミナー・研修、商談、講演会などの現場で通訳を行う。政治、経済から環境、ITなど、多彩な分野に精通した幅広い知識を求められることが多い。会議通訳は高度なスキルを必要とする同時通訳が主流のため、通訳者にとっては最高峰の花形ジャンル。ただし、外国要人の会談といった重要案件ではベテラン通訳者に依頼が集中するのが現状。
■ プロへの道
会議通訳を目指すなら同時通訳ブースを備えた専門スクールで訓練するのが有利。卒業後は、通訳エージェントにフリーランスとして登録するか、企業に勤めて社内通訳者になる手もある。
エンターテインメント
■ 仕事内容、プロへの道
有名外国人が来日した際のテレビ・イベント出演、記者会見、取材などで通訳を務める。フリーランスの通訳者が専属で通訳を担当するケースが多いが、その有名人と関わりの深い業界とのコネクションがないと難しいのが実状。
コミュニティ
■ 仕事内容、プロへの道
行政・福祉・教育などの場において、日本語が堪能ではない在日外国人を言葉の面でサポートする。この分野はボランティアが中心で、職業としては成立していない。ある程度の語学力とボランティア精神・責任感がある人なら、通訳未経験者でも行える。
放送
■ 仕事内容、求められる能力
テレビやラジオで放送される海外のニュースを、的確でわかりやすく日本語に通訳するのが主な仕事。放送通訳者の多くが活躍しているのはNHKだが、BS・CS放送やケーブルテレビの登場で多チャンネル化が進んだ現在、需要は拡大している。ニュースの内容を確実に聞き取るヒアリング力と、情報を瞬時に的確にまとめる編集能力が必要。明瞭な発声・発音で視聴者に届ける表現力も必須だ。
■ プロへの道
NHKは系列の養成スクールとエージェントを有するので、スクール修了後にエージェントに登録するのがよい。その他の放送局の場合も、放送系に強いエージェントに登録するのがプロへの近道。
法廷・捜査現場
■ 仕事内容、プロへの道
捜査や取り調べ、法廷での裁判、刑務所などで逐次通訳を行うのが一般的。英語だけでなく、近年はアジア圏の言語の需要が高まっている。各都道府県警察や裁判所などが通訳者名簿を作成しており、公募などに応じて登録できる。
全国通訳案内士
■ 仕事内容、プロへの道
訪日外国人の旅行に関する案内を行う。観光ガイドや送迎などの仕事があり、観光地に関する幅広く正確な知識と、おもてなしの心が求められる。日本政府観光局が年1回行う全国通訳案内士試験(国家試験)に合格し、都道府県へ登録が必要。
※改正通訳案内士法の施行により、資格なしでも有償で通訳案内業務が行えるようになった。