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翻訳業界の新型コロナ対策

コロナショックによる経済活動の減退は、微増ながらも拡大を続けていた翻訳業界にも大きな影響を与えました。様々な企業がアフターコロナの世界に対応していく中で、翻訳業務も転換を迫られています。

巣ごもりに対応した業界からの需要

新型コロナのまん延により、企業は業務が制限され、大幅な減益に見舞われています。翻訳需要については、クライアントとなる企業に翻訳の内製化を図るなどの動きがみられ、翻訳業界全体で受注件数が減ってしまったということがあります。また、対面での営業活動が制限されてしまったことも受注減の理由の一つに挙げられます。

しかし、需要そのものがなくなったわけではありません。人々の巣ごもりに対応した、Netflixに代表されるサブスクリプション動画や企業のCM・ブランディング動画への字幕、広告や製品資料の翻訳、教育分野でのeラーニング関連の翻訳、医療翻訳などが増加しているといいます。

ただし、これらを翻訳するうえでライバルとなるのが年々制度の上がってきている機械翻訳(MT:Machine Translation)です。まだまだ文脈理解という点では人の手による翻訳にはおよびませんが、進化の度合いはとてもハイペースです。MTと戦っていくためには品質だけでなくスピードも求められることになるので、自身のスキルアップを常に行っていく必要があります。

在宅勤務がしやすい翻訳業務

各企業は従業員の出社を減らし、自宅などで業務を行うリモートワークを行うようになりました。翻訳業界でもリモートワークへの転換が一気に進みましたが、コロナ禍前から翻訳業界は求人を見てみても「在宅勤務可」としている会社が数多くありました。クライアントとのやりとりはメールやチャットツールで行われていたため、元々在宅での仕事がしやすい業態といえます。コンピューター翻訳支援ツール(CAT:Computer Assisted Translation)の活用なども早くから進められていたため、ITに関する知識も他の業種に比べて先行していたと言えるでしょう。しかし、自宅に籠りきりで作業に没頭しがちな翻訳業務は自身の健康のためにも作業環境の構築に、より気を使う必要があります。快適な環境構築のための指針の一つとして、厚生労働省の『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』というものがあります。このガイドラインの中に「宅等でテレワークを行う際の作業環境整備の留意」という項目があります。

自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備

【部屋】

  • 設備の占める容積を除き、10㎥以上の空間(およそ6畳以上の空間が必要です)

【照明】

  • 机上は照度300ルクス以上とする

【窓】

  • 窓などの換気設備を設ける
  • ディスプレイに太陽光が 入射する場合は、窓に ブラインドやカーテンを設ける(ディスプレイへの映り込みで画面が見づらくなると非常にストレスがかかります)

【イス】

  • 安定していて、簡単に移動できる
  • 座面の高さを調整できる
  • 傾きを調整できる背もたれがある(姿勢を固定してしまうと腰痛の原因になります)
  • 肘掛けがある

【室温・湿度】

  • 気流は0.5m/s以下で直接、継続してあたらず室温17℃~28℃ 相対湿度40%~70% となるよう努める

【パソコン】

  • ディスプレイは照度500ルクス以下で、輝度やコントラストが調整できる(画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすることが推奨されています)
  • キーボードとディスプレイは分離して位置を調整できる
  • 操作しやすいマウスを使う

【机】

  • 必要なものが配置できる広さがある
  • 作業中に脚が窮屈でない空間がある
  • 体型に合った高さである、又は高さの調整 ができる

【その他】

  • 椅子に深く腰かけ背もたれに背を十分にあて、足裏全体が床に接した姿勢が基本
  • ディスプレイとおおむね40cm以上の視距離を確保する
  • 情報機器作業が過度に長時間にならないようにする